安土桃山時代の芸術文化と映画小説

 

安土桃山時代の絵画

 

戦国時代の絵師「狩野永徳」を題材にした小説

狩野派の中でも狩野永徳という画人は、織田信長や豊臣秀吉に仕えて安土城などの障壁画を制作した人物です。今回は狩野派日本絵画を学んでいる人や興味を持っている人に、オススメしたい三冊を紹介していきます。

 

小説を読む前に狩野永徳をおさらい

狩野永徳は安土桃山時代の絵師であり、日本美術史上もっとも著名な画人の1人です。代表的な作品は聚光院障壁画や唐獅子図屏風などですが、ほとんどの作品は戦で焼けてしまったと言われています。

現存している代表作は以下で見ることができます。

  • 国宝の聚光院障壁画(京都市聚光院)
  • 国宝の洛中洛外図(山形県米沢市・上杉美術館)
  • 国宝級と言われる唐獅子図屏風(東京都千代田区の三の丸尚蔵館)

以下に紹介していく作品は狩野派の天才と呼ばれた永徳の一生や、絵に対する思いを知ることができる作品たちです。作品を紹介する美術書などと違った視点から、狩野永徳とはどういう人物だったのかを知ってください。

 

 

洛中洛外画狂伝 狩野永徳

洛中洛外画狂伝 狩野永徳は、狩野源四郎が自分の道を切り開いていく成長物語です。

  • 作者は第18回歴史群像大賞優秀賞を受賞した谷津矢車
  • 谷津矢車のデビュー作でもある
  • 単行本は2冊の上下巻で電子書籍版もある

谷津矢車が26歳で書き上げた歴史小説で、狩野永徳の青春期を切り取った作品となってといます。狩野永徳が織田信長と対面する所から物語は始まり、織田信長の背後には一枚の屏風がありました。

永徳はその屏風には魂がこもっていないと言い放ち、自分が持ってきた献上品のほうが良いと挑発的に話します。そんな永徳の態度を気に入った信長に、永徳は自分が6歳から26歳までの物語を語り始めました。

洛中洛外画狂伝 狩野永徳の魅力は、永徳の半生の話のほかにも登場人物たちの人間味です。時代や風景の描写もとてもうまく表現されていて、歴史に詳しくない人でも自然と読めてしまう作品です。

狩野派の中でも天才と言われた狩野永徳を知るには、オススメできる1作と言えるでしょう。

 

 

安土唐獅子画狂伝 狩野永徳

安土唐獅子画狂伝 狩野永徳は、谷津矢車が手掛けた狩野永徳シリーズの2作目とも言われています。この作品だけでも読める物語ですが、洛中洛外画狂伝 狩野永徳もあわせて読むことで楽しさが増します。

  • 谷津矢車の作品であり、狩野永徳を主人公にした作品の2作目
  • 単行本も電子書籍もある
  • 洛中洛外画狂伝とは違い、安土城の障壁画を描いていく作品

狩野永徳は安土桃山時代の代表的な絵師であり、自分の絵に絶対の自信を持っていました。一方で天下人の織田信長も優れた感性を持っているため、他人の意見をほとんど聞かなかったといいます。

信長は永徳に安土城の天守と本丸に障壁画を書けと命じますが、障壁画の題材は自分で考えろといい放ちました。命がけで制作に取り掛かった永徳と、完成した作品を見た信長は何を思うのか。

信長に立ち向かう永徳を見事に描いた作品であり、唐獅子図屏風に対する独特の解釈も魅力の一つ。狩野派の天才としての永徳だけでなく、天下人に挑み対等に語りあっている様子にも注目です。

 

 

花鳥の夢

花鳥の夢は安土桃山時代の天才である狩野永徳生涯を描いた作品で、天才の苦悩や歓喜がリアルに描かれています。

  • 作者は松本清張賞や直木三十五賞を受賞した山本兼一
  • 単行本・文庫本・電子書籍がある

永徳は絵師の家に生まれた才能のある人物であると同時に、天下一であり続けねばならないプレッシャーを感じます。天下一であるために足利義輝・織田信長・豊臣秀吉など、権力者たちの要望に応えて数々の作品を完成させました。

ライバルに対する嫉妬や戦乱で焼けていく自分の作品など、時代が与える苦悩や情熱は花鳥の夢ならではの見どころです。花鳥の夢は狩野永徳の生涯を描いた小説であると同時に、歴史上の人物を現代の目線で表現している作品でもあります。

354ページの長編小説ではありますが、ドラマ性と読みやすさもあってオススメしたい一冊です。48歳で亡くなった永徳は過労死と言われていますが、命を削った絵にかける情熱も感じられる作品です。

一度完結まで読んだ後に時間をおいて読み直すと、違った見方ができる一冊でもあります。

 

 

花鳥の夢とあわせて読みたい等伯

安部龍太郎の等伯は狩野永徳が嫉妬した絵師である、長谷川等伯が主人公の作品です。永徳にスポットが当たる機会は少ないですが、等伯の視点から描かれる永徳は違った見方ができます。

ただし上下巻のボリュームがあり、歴史に詳しくない人には難しい作品ともいえます。花鳥の夢を読み終えた時に、永徳のライバルに興味がわいたなら読んで損はありません。

狩野派が悪役に書かれている作風も、花鳥の夢とは違った面白さがあります。永徳の作品で現存している物は少ないですが、国立歴史民俗博物館などで見ることができます。

紹介した作品を読んで興味を持った人には、ぜひ足を運んでいただきたいですね。

 

 

千利休を題材にした映画紹介

安土桃山時代を代表する茶人、千利休は茶の湯の発展に大きな足跡を残しただけでなく、ゲームや音楽の歌詞にも名前が登場します。一つのきっかけで千利休を知りたいと考えた人に向けて、オススメの映画を紹介していきます。

 

 

利休にたずねよ

利休にたずねよは直木賞を受賞した小説が原作で、2013年12月7日に公開された映画です。

  • 主演は市川海老蔵・中谷美紀・市川團十郎・伊勢谷友介など
  • 監督は田中光敏で原作者は山本兼一
  • 第37回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門で最優秀芸術貢献賞を受賞した

織田信長に茶頭として選ばれた利休は、権力にこびへつらうことなく茶の道を研究していきます。信長が亡くなった後も豊臣秀吉に仕えますが、利休の頭の良さに秀吉は恐ろしさを覚えました。

秀吉から切腹を命じられた利休は、切腹の日を迎えて妻と会話をします。妻は利休に自分以外の想い人がいるのではないかと利休に質問し、それを語るように物語は始まります。

市川海老蔵が演じる千利休は、他の時代小説や映画とは違った千利休を見せてくれるでしょう。山本兼一原作の小説とも話の運び方が違うので、原作を読んだ方でも違った楽しみがあります。

本編のテンポはややゆったりしていますが、千利休の性格や世界観も合わさってピンとした緊張感も。また市川海老蔵と市川團十郎の最後の共演でもあるので、ファンなら必ず見ておきたい作品です。

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千利休 本覺坊遺文

千利休 本覺坊遺文は1989年10月7日に公開された映画で、今でも傑作と口コミの評判も高い作品です。

  • 主演は奥田瑛二・三船敏郎・萬屋錦之介・加藤剛など
  • 監督はベルリン国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭で、各賞を受賞した熊井啓
  • 原作者は井上靖の本覺坊遺文
  • 千利休 本覺坊遺文も第46回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞

千利休 本覺坊遺文は千利休が豊臣秀吉の命により切腹し、その後27年経過した所からスタートします。利休の愛弟子である本覺坊は、利休の切腹について解明しようとしている織田有楽斎と出会います。

本覺坊は有楽斎と出会い、山崎の妙喜庵で催された利休の真夜中の茶会について話し始めました。この作品は利休の愛弟子が千利休の死の真相を探る映画ですが、同時に茶道の世界も美しく描いています。

利休にたずねよと比べて古い作品ですが、当時だからこそ作れた重みある作品です。利休や茶道に興味を持っている人はもちろん楽しめますが、安土桃山時代の日本四季の美しさも必見。

名優たちが見せる一つ一つの動きや演技力は、日本映画のすばらしさを感じさせてくれます。

 

 

利休

利休は1989年9月15日に公開された映画で、ほぼ同時期に公開された千利休 本覺坊遺文とは違った面白さがあります。

  • 主演は三國連太郎・三田佳子・松本幸四郎・中村吉右衛門など
  • 監督は日本アート・シアター・ギルド初の日本映画監督である勅使河原宏
  • 原作は野上彌生子の秀吉と利休
  • 作中に登場する茶器・掛軸・屏風はほとんどが本物で国宝級の物もあり、美術館から借りている

織田信長に仕えていた利休は、本能寺の変の後に豊臣秀吉の茶頭となりました。
利休は茶の湯を通して全国にいる武将たちを魅了し、自分だけの世界を作り上げていきます。

しかし石田三成が豊臣家に仕えて力を得てきてから、秀吉と利休の関係は狂い始めました。利休の愛弟子の一人が殺され、三成は秀吉に利休が良くないことを考えていると密告します。

この映画はどうして秀吉が利休に切腹を命じたのかを描き、利休と秀吉のそれぞれの生き方を見る事ができます。他の利休映画との違いは、利休は美の追求だけに生きたわけではないということです。

作風とは大きな関わりはありませんが、登場する美術品たちは三國連太郎がNGを出すほどプレッシャーを感じた品々。ストーリーだけでなく監督のこだわりがつまった作品は、ほかの千利休作品とは違った魅力がつまっていると言えます。

海外で日本文化を伝えるときの資料にしたいという声もある本作は、見終わった後に独特の感想をあたえてくれます。こちらの作品もU-NEXTで見放題作品として配信中。

 

 

千利休が主役ではないが「花戦さ」もオススメ

篠原哲雄監督の花戦さは2017年6月3日に公開された映画で、池坊専好と千利休の交流を描いている作品です。主演に野村萬斎・市川猿之助・中井貴一が選ばれており、千利休は佐藤浩市が演じています。

千利休を題材にした映画は重い雰囲気が多いですが、花戦さはコメディ要素もあって見やすい作品です。時代劇によくある殺陣シーンや合戦もなく、華道をテーマにしています。

コメディ要素はあっても歴史文化を知れるストーリーで、楽しく当時を知りたい人にも向いています。千利休に興味があるけど重いのは苦手という人にオススメできる、わかりやすいストーリーと言えるでしょう。

千利休を題材にしている映画は、娯楽映画と芸術作品の二つにわけられることがあります。映画という娯楽以上の作品たちは、千利休に興味をもった人たちを魅了してくれるでしょう。

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